2015年2月25日 (水)

うたつかい2014・1月号~10月号

2014年1月号

自由詠~遠景になる

都落ちした娘たちとりどりの夢を手放す夜、跨線橋

あの橋を渡りきったら過去形に変わるんでしょう眠るんでしょう

なつかしい人と思えばたちまちに遠景になるモノクロになる

すこやかになれるでしょうかひかりつつ風ぬけてゆく楡の木の下

木はいつか林になって森になる幾度も鳥を巣立たせながら

テーマ詠~本

背表紙に恋の字ならぶ本棚ははがれた夏のようでまぶしい

2014年4月号

自由詠~はじまりの雫

地下街にゆるく身体を流しこみ日射しを避けて泳ぐ真昼間

帰属する意味をおしえて繰り返す波に足裏(あうら)を洗わせながら

騙されていたとしたって瑠璃色の空だ あなたはきっと正しい

まみれてる泥とひかりと逡巡を洗い流せる水を引くのだ

境目をすべて過渡期と呼んでみる川、川、川を越えて 笑って

テーマ詠~色

食卓にチェダーチーズの黄を添えて春の眠りをしずかにはがす

2014年7月号

自由詠~何を見ている

ありえないありえるアリスおちてゆく細い手首に花を咲かせて

ひとすじに積まれた背骨やわらかくかがめて君は何を見ている

花首は摘んでねというこいびとの首筋にあるあかいゆびあと

おいでよと誘えるまでに何回も冷たい水に足をひたした

百年ののちにさらされゆく手紙ただ罪深い話となって

テーマ詠~海

訣別ののちに海馬が走り出しわたしはきっと忘れてしまう

2014年10月号

自由詠~機械じかけの夢

エドガーは砂漠の城のマシーナリー王位を継いで自由をゆずる

銀色のボウルに張った水ゆれてアンドロイドになれなかったね

エスカレーターでもすぐしゃがむ君たちは強靭な膝を持つということ

再分配される幸せ待つよりもヒューマノイドのいびつな歩み

宇宙へと近づくほどに寂しくてエレベーターでは床を見ている

テーマ詠~魔法

春に咲く種蒔くことはこの星できみが最初におぼえた魔法

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昨年一年間に発行された「うたつかい」掲載作です。

過去作も多いのですが、今のところ欠詠なしで続けています。

うたつかい。詳しくはこちらまで。
   ↓
http://blog.livedoor.jp/utatsukai-oshirase/

2014年5月14日 (水)

うたつかい2013・2月号~9月号

2013年2月号

自由詠~スカーレット

アルパカのうるむ瞳がやさしくて赤の他人も愛せそうです

呼吸することはさびしい巻貝のような身体をめぐるビル風

けものみちほどかれてゆく両足の疾駆する日がいつか来るまで

エアリプの嵐のなかでコスモスが好きなことだけ伝わりました

産みなさい茜に染まる窓のほか誰もおまえを見ていないから

テーマ詠~告白

ひとりからふたりになれば寂しさが死角に入る 告げられて、夜

2013年4月号

自由詠~kiss in blue heaven

鈍色の少女の日々は遠ざかるためらいがちにふれた袖から

くちづけは息つぎのようひらひらとビルの谷間を泳ぐふたりの

夢のなか笑ったきみをもう一度手放すためにまた夢をみる

均整のとれた背中と思いつつほろびる星をさがしてしまう

夕闇にまたたくキスをあつめてはほのかにひかる水の惑星

テーマ詠~はじまり

はじまりの気配が闇を少しずつはぎとってゆく朝を信じる

2013年7月号

自由詠~夏雲

曇天の影なき君を追いかけて影なき私が走る六月

梅雨空をはがせばきっと待っている泡立てすぎた夏の計画

またひとつ夏の秘密を分けあってふたり大きな雲になりそう

蒼天の域をせばめて叫ぶように歌うようにただ広がってゆく

あふれだす幸せでしょう抑えても隠しきれない白なんでしょう

テーマ詠~植物

瞬間が瞬間をうらぎってゆく明日の朝のあさがおの色

2013年9月号

自由詠~鍵

西日さすドアにさしこむ鍵があり熱に押されて立つ人がいる

おかえりとこたえる人がいなければ黙ってあけるドアは鈍色

ウィークリー・マンションの鍵、社員証うすいカードに時をゆだねる

眠れない夜にこぼれるツイートの鍵をはずせばあふれだす息

合鍵をつくれば恋が日常にとけて流れてうすらいでゆく

テーマ詠~2

もう二年、まだ二年だと言いながら笑いあいたい さくら この道

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昨年一年間に発行された「うたつかい」掲載作です。

9月号のテーマ詠「2」はうたつかい2周年にちなんで編集長のお名前を詠み込んでみました。

編集長・嶋田さくらこさんの第一歌集『やさしいぴあの』は 書肆侃侃房・新鋭短歌シリーズより刊行されています。

2013年7月10日 (水)

うたつかい2012・4月号~12月号

2012・4月号

テーマ詠「音楽」

向かい風きみと歩けばポリリズムぎこちなさこそ二人のすべて

自由詠「すこしだけ」

花咲いて花散るまでのはかなさを重ねた指にたしかめている

少しだけ大事にされなくなる頃の恋人がきっと一番さみしい

幾たびも霜柱とかしやわらかいゆりかごになる春の庭土

ひらがなで呼んでくださいゆっくりと(聞きとってから)振りかえるから

てっぺんを天辺と書く明るさでジャングルジムのあなたが笑う

2012・5月号

テーマ詠「動物」

はじまりか終わりか今はわからない空飛ぶように泳ぐペンギン

自由詠・朗読「さくらソネット」より

ねぇさくら去年の春より私たちうたえるようになったのかしら

ひびかせて響いて消える弦のおと目をつぶっても光は見える

なにひとつたしかなものはないけれど今向いている方が「前」だよ

だれひとり昨日に行ける人はない後もどりなんてしない できない

否応なく押しだされてゆく明日でも一番乗りと言ってみようか

2012・6月号

テーマ詠「雨」

指先から雨のしずくをこぼす人ひとつの傘をななめに寄せて

自由詠「ウィロー流星群」

アクセルを踏む足ふいに寂しくて君との距離をはかれなくなる

白紙には戻せないのだ消しゴムをかけても胸にのこる筆跡

あやとりのようにゆっくり行き来する言葉であれば迷わなかった

傷ついて傷をいやして僕たちは柳のように風下に立つ

流れゆく星もいつかは止むだろう人の祈りを空に満たして

2012・7&8月号

テーマ詠「温度」

室温を一度上げれば穏やかな寝息のひとは闇にほどける

自由詠「ねむれない少女たち」

早退の妹のへや閉ざされてスノードームのようなしずけさ

少しずつ少女の欠片をこぼしつつ走りつづけるグランドがある

かたくなに染めない髪がゆれているロッカーのかげ顔は見えない

笑顔にも作為はあってひるがえすフレアスカート幾何学模様

二の腕をひからせている妹よ釘ふかくふかく打ちこみながら

2012・10月号

テーマ詠「食べ物」

煮つめればカラメルにがくなるばかり今火を止めてサヨナラと言う

自由詠・題詠「地」より

処女地とは荒れ地のことだ踏み入れる靴のさきから世界を崩す

地球儀をまわすゆびさき海にふれ陸にふれつつ世界をとかす

十月の時雨心地の街を行く時折魚が横切ってゆく

現地よりお伝えします生きている私の場所がいつも現地だ

乾いてもやがてうるおう地面だと知っているから信じてねむる

2012・12月号

自由詠「レインボウ・ファクトリー」

残業の西日は眩し字あまりのような仕事に向きあいながら

ためらいに区切りをつける改行のあとの一字は丁寧に書く

精密な機器を確認するゆびに神のリズムが時折おりる

島流しみたいと笑う鳶色のマフラー指にからませながら

来年はパパになるよと君に言う虹工場の中庭は雨

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2012年4月号から12月号までの、うたつかい掲載作。
過去作が多いのですが、欠詠せずに参加させていただいています。
選がないことのこわさもあるけれど楽しく続けております。

「うたつかい」間もなく2周年ですshine

詳しくは、こちらまで。
  ↓
http://www.utatsukai.com/

2012年12月19日 (水)

うたつかい2011・9月号~2012・3月号

2011.9月号

自由詠「夏~水のある風景」

屋上の給水塔の陰にふたり逃げ水のようなアイスを食べた

水銀灯ほろほろひかる夏の夜に祭りのあとの欠片をさがす

水と銀やさしく響きあうものがかすかに見せる滅びの予感

なにげない言葉がしみる胸の奥ふいにこぼれた炭酸水の

雑味なき純水のように生きたくて地図も海図も持たないふたり

2011.10月号

題詠「月」

泣くことを自分に許す真夜中の月のひかりは胸にあふれて

テーマ詠「運動会・体育祭」

ひきよせる綱にしびれたてのひらをつなげば秋の距離感になる

自由詠「空」

不器用に欠けた言葉の空白が胸にひろがりわたしを冷やす

空を飛ぶ城に思いを馳せながら天空率を示す建築士

フロントとリアとサイドに雲浮かべ車は空を飛ぼうとしてる

駈けのぼる空の頂点ゆっくりと宇宙にしずむ膝がまぶしい

闇のなか黙ってきみにさしのべる手もあるだろう航空灯火

2011.11月号

題詠「空」

見上げれば果てない空が降ってくる「秋澄む」という季語を知った日

テーマ詠「装い」

誕生のなかに潜んだ死の影を忘れるために磨かれる靴

自由詠「秋深まって」

秋冷をたずさえてきた君の手に香る蜜柑のいとしき重さ

涼しさが寒さに変わる秋の日は紅茶の湯気で結界を張る

含羞がひろがる胸の夕焼けにかすめとられる柿の実ひとつ

さしのべて重ねたあとに離れゆく指先てのひらゆっくり冷える

目を閉じてだまされてみるチョコレートコスモスゆれる秋の迷宮

2011.12月号

テーマ詠「ラブレター」

ため息も小さな嘘もつよがりもみんな君への恋文だった

自由詠「れんげメレンゲ」

ゆびさきの形にそって色褪せるマウスは君の決心だろう

偶然に乗り合わせたね、この星に輪廻の果ては知らないけれど

イコールで結ばれているふたりなら誤差もやさしいスパイスになる

ほうせんか弾ける種子のあかるさで君が笑ってくれたのだから

金色に滴るひかりにとかされて思い出となる蓮華メレンゲ

2012.1&2月号

テーマ詠「約束」

身をかがめ約束させる指先が見上げる瞳に試されている

自由詠「夢の結び目」

いびつなるものを抱えるかなしみはほどけきれない夢の結び目

ぬかるみも光にあふれることがある赦されることを信じてあるく

夢みてた証のように残されたスノードームは本日も雪

連綿とつづく時間のきざはしで「今」が笑ってくれますように

しあわせと言ってごらんよ言霊はきっとあるから春は来るから

2012.3月号

テーマ詠「旅」

この旅を終えたら君と暮らすこと ふたりの旅は終わらないこと

自由詠・テーマ「春のはじめの風」

ささやかな人生の岐路に立つ君と吹かれた風は銀河のにおい

ゆっくりとメールをかわす待つことがやさしく満たすものをあつめて

吹きすさぶ風をみる朝きく夜に飛ばしてみたい拘泥ひとつ

三月のさむさサヨナラ桜咲く君をさそって散歩しようか

根を張らず生きていけると知ったからエアプランツのように自由だ

2012年12月15日 (土)

うたつかい

嶋田さくらこさんが編集長をされている短歌な月刊zine(小冊子)「うたつかい」に2011年9月の創刊号から参加させていただいています。
これはTwitter歌人によるアンソロジーです。

編集長&編集部の皆さんの尽力により回を重ねるごとに洗練された冊子に仕上がっています。
こちらも前回記事の歌会たかまがはら同様、短歌総合誌の記事でも取り上げられるようになり知名度がアップしてきています。

さくらこさんの編集後記から素敵な言葉を…。

「皆さまから、短歌が好きなお友達に、うたつかいがバトンリレーのように繋がっていくのを見せて頂けるのは、なんて幸せなことでしょう。」

この言葉のように参加人数も創刊号の60名から今では倍ぐらいに増えています。

一冊100円で購入することもできるので、よろしかったら…♪
     ↓
http://www.utatsukai.com/

うたつかい掲載歌は次の記事に載せます。
選を受けずに載るのは少々覚悟のいることだ…と近頃思うようになりました。

今は来週22日締切の歌を考えているところです。