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2013年7月10日 (水)

うたつかい2012・4月号~12月号

2012・4月号

テーマ詠「音楽」

向かい風きみと歩けばポリリズムぎこちなさこそ二人のすべて

自由詠「すこしだけ」

花咲いて花散るまでのはかなさを重ねた指にたしかめている

少しだけ大事にされなくなる頃の恋人がきっと一番さみしい

幾たびも霜柱とかしやわらかいゆりかごになる春の庭土

ひらがなで呼んでくださいゆっくりと(聞きとってから)振りかえるから

てっぺんを天辺と書く明るさでジャングルジムのあなたが笑う

2012・5月号

テーマ詠「動物」

はじまりか終わりか今はわからない空飛ぶように泳ぐペンギン

自由詠・朗読「さくらソネット」より

ねぇさくら去年の春より私たちうたえるようになったのかしら

ひびかせて響いて消える弦のおと目をつぶっても光は見える

なにひとつたしかなものはないけれど今向いている方が「前」だよ

だれひとり昨日に行ける人はない後もどりなんてしない できない

否応なく押しだされてゆく明日でも一番乗りと言ってみようか

2012・6月号

テーマ詠「雨」

指先から雨のしずくをこぼす人ひとつの傘をななめに寄せて

自由詠「ウィロー流星群」

アクセルを踏む足ふいに寂しくて君との距離をはかれなくなる

白紙には戻せないのだ消しゴムをかけても胸にのこる筆跡

あやとりのようにゆっくり行き来する言葉であれば迷わなかった

傷ついて傷をいやして僕たちは柳のように風下に立つ

流れゆく星もいつかは止むだろう人の祈りを空に満たして

2012・7&8月号

テーマ詠「温度」

室温を一度上げれば穏やかな寝息のひとは闇にほどける

自由詠「ねむれない少女たち」

早退の妹のへや閉ざされてスノードームのようなしずけさ

少しずつ少女の欠片をこぼしつつ走りつづけるグランドがある

かたくなに染めない髪がゆれているロッカーのかげ顔は見えない

笑顔にも作為はあってひるがえすフレアスカート幾何学模様

二の腕をひからせている妹よ釘ふかくふかく打ちこみながら

2012・10月号

テーマ詠「食べ物」

煮つめればカラメルにがくなるばかり今火を止めてサヨナラと言う

自由詠・題詠「地」より

処女地とは荒れ地のことだ踏み入れる靴のさきから世界を崩す

地球儀をまわすゆびさき海にふれ陸にふれつつ世界をとかす

十月の時雨心地の街を行く時折魚が横切ってゆく

現地よりお伝えします生きている私の場所がいつも現地だ

乾いてもやがてうるおう地面だと知っているから信じてねむる

2012・12月号

自由詠「レインボウ・ファクトリー」

残業の西日は眩し字あまりのような仕事に向きあいながら

ためらいに区切りをつける改行のあとの一字は丁寧に書く

精密な機器を確認するゆびに神のリズムが時折おりる

島流しみたいと笑う鳶色のマフラー指にからませながら

来年はパパになるよと君に言う虹工場の中庭は雨

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

2012年4月号から12月号までの、うたつかい掲載作。
過去作が多いのですが、欠詠せずに参加させていただいています。
選がないことのこわさもあるけれど楽しく続けております。

「うたつかい」間もなく2周年ですshine

詳しくは、こちらまで。
  ↓
http://www.utatsukai.com/

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