2018年12月28日 (金)

11月号の歌

はねる水ふれる食器に開くドア病床に聞く音は明るい

聞き慣れぬ「命にかかわる」という言葉この夏の気象情報にあり

水菓子のひかりに口をふさがれて永遠の秘密となる夏の些事

ここではないいつかどこかの物語それを信じて生きていこうか

ワンピースは夏の正装顔上げて歩く平均台を行くように

よろこびをモザイクにして敷石にするから君は渡って 笑って

(塔2018年11月号掲載歌・三井修さん選)

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9月号6首目、7首目の歌を選歌欄評で取り上げていただきました。(出奈津子さん)

月刊うたらば12月号「家」

秋晴れの洗濯物の幸を言う母がいちばん満ちたりている

空心菜の名のさびしさと明るさよ 子は三月に家を出るもの

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月刊うたらばテーマ「家」に2首採用していただきました。

2018年11月27日 (火)

10月号の歌

榎の葉しか食べられずオオムラサキ細き蛹に変わる葉の裏

こぼれおちるように飛びたつ虫たちの地球は青いみずうみだろう

四匹が鍋に頭をつっこんで猫の昼餉は夏草の上

天の川みたいに啜るところてんぴちぴちはねて夏がはじまる

モノローグがダイアローグになるまでの遥かな歩み 君と出会った

問う人のまなざしのただまぶしくて開いた夏の傘にかくれる

(塔2018年10月号掲載歌・小林幸子さん選)

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NHK俳句12月号

桃食めばやはらかき水ふかき水

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兼題「桃」で星野高士さんに佳作に選んでいただきました。

2018年10月22日 (月)

9月号の歌

「ポケモンジムになりました」という張紙をイオンの壁に見る春の昼

長生きをリスクと告げるCMに振り向く とおい母を思って

人間にだけあるという長い日々 老後をなだらかに生きてゆく

淡々と少女ふたりの髪ゆれて五月のバスを待つ木下闇

止まるときバスは左に傾いてひとりの肩をさびしくさせる

ためらいもなく草原を踏む素足こどもがこどもを追いかけてゆく

押しやればぴんと張りつめ何もかも拒むかたちに傘はふくらむ

雨音にかくれた街のしずけさが湿った靴の裏にしみこむ

(淡々=あわあわ)

(塔2018年9月号掲載歌・池本一郎さん選)

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7月号7首目の歌を選歌欄評で取り上げていただきました。(山上秋恵さん)
山上さんには以前も評をいただいたのですが、明るさを掬って読んでくださることをうれしく思います。

NHK俳句11月号

なつかしき声かさなりて菊の宴

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兼題「重陽」で宇多喜代子さんに佳作に選んでいただきました。
「菊の宴」は「重陽」の傍題です。

名を呼んでほしいと言はず秋桜

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兼題「秋桜」で櫂未知子さんに佳作に選んでいただきました。

月刊うたらば10月号「火」

薄闇の木々の間にひろう陽の思いがけない熱量のこと

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月刊うたらばテーマ「火」に採用していただきました。

2018年9月21日 (金)

8月号の歌

とりあえず信じてみようと思いつつ羽田の空に身体を浮かす

ひややかな壁にふれれば飛行機のふるえは私の身体をめぐる

ピーチラインより桃街道と呼びたいな果実の重みてのひらにして

魂を引きよせるため振る袖のちぎれるほどの恋をしましょう

くちびるのさかいめそっとさぐりつつ助手席に塗るリップクリーム

車窓低く灯りは縦にまたたいて川を渡っていると気づいた

(塔2018年8月号掲載歌・江戸雪さん選)

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6月号1首目の歌を選歌欄評で取り上げていただきました。(横田竜巳さん)
(名前は誤植のままなのですが、今回は訂正依頼を出しませんでした)

月刊うたらば9月号「実」

誰にでもやさしい人のやさしさが深まる秋の木の実を冷やす

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月刊うたらばテーマ「実」に採用していただきました。

フリーペーパー最新号うたらばvol.22「文房具」佳作集にも1首掲載されています。
         ↓
http://www.utalover.com/index.html

2018年8月24日 (金)

7月号の歌

初陣のあかるさだろうたんぽぽの綿毛名のみの春に飛びたつ

言いさしの言葉に栞するように春の暦に書きこむ名前

きっぱりと別れの意気をとじこめた胸まっすぐに歩いていこう

何度でも二度寝するってそれはもう二度寝じゃないよ春が来ている

浄土へと通じるという満開の桜の下に素足で降りる

窓際の晴れの気配をつめこんでガラス壜になる四月の身体

晴れてくるだけでうれしい雲を割るひかりが春の胸まで届く

(塔2018年7月号掲載歌・三井修さん選)

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5月号3首目の歌を選歌欄評で取り上げていただきました。(山上秋恵さん)

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